イソトレチノイン（ロアキュタン）

イソトレチノインとは

イソトレチノイン（Isotretinoin）は、ビタミンA誘導体の一種であり、重度のニキビ（尋常性ざ瘡）に対して特に高い治療効果を発揮する内服薬です。海外では「アキュテイン（Accutane）」「ロアキュタン（Roaccutane）」などの商品名で広く知られています。

日本では未承認の医薬品ですが、難治性・重症のニキビに苦しむ患者様にとって非常に有効であるため、当院では厚生労働省の許可に基づき、医師の責任のもと自由診療として処方しています。

イソトレチノインがニキビに効果的な理由

ニキビは主に以下の4つの要因が複合的に絡み合って発生します。

イソトレチノインは、これらニキビの根本原因全てにアプローチできる点が最大の特徴です。

イソトレチノインは、単なる対症療法ではなく、「ニキビ体質そのものを改善する」ことを目的とした根本治療です。

イソトレチノインの治療のスケジュールと服用期間

ニキビの再発を予防するためには、一定期間の服用で体内に累積される「累積投与量」が非常に重要です。

この目標累積投与量に到達することで、治療終了後のニキビの再発率が大幅に低下することが研究により証明されています。

当院での一般的な治療の流れ

1. 服用開始量

副作用の発現状況や重症度に応じて、1日10mgまたは20mgから開始します。

2. 安全性確認

服用開始前と、その後も定期的に（通常3ヶ月に1回程度）、血液検査を実施し、肝機能や血中脂質などに異常がないか安全性を確認しながら継続します。

3. 服用期間

通常は6〜12ヶ月程度継続し、累積投与量を目指します。

再発について

海外のデータでは、イソトレチノイン治療完了後の再発率は15〜20％程度とされています。万が一再発した場合でも、2クール目の治療を行うことでほとんどの方が改善に向かいます。

イソトレチノインの副作用と治療における注意点

イソトレチノインは高い効果が期待できる一方で、いくつかの副作用や厳守すべき注意点があります。

1.よく見られる副作用

乾燥症状

口唇（唇）の乾燥が最も多く、皮膚や粘膜（目、鼻など）の乾燥、皮むけ、かゆみなどが起こりやすくなります。保湿剤や目薬で対策が可能です。

一時的な悪化（初期反応）

服用開始初期にニキビが一時的に悪化（フレアアップ）する場合がありますが、通常は数週間で治まり、その後改善に向かいます。

2.特に注意すべき重篤な副作用・禁忌事項

イソトレチノインの服用において、特に以下の事項は厳守してください。

催奇形性（妊娠との関係）

イソトレチノインには非常に強い催奇形性があり、服用中および服用後一定期間内に妊娠すると、胎児に重篤な先天性異常を引き起こす可能性があります。

• 女性：服用中はもちろん、服用終了後も最低1ヶ月間は厳重な避妊が必要です。
• 男性：服用中および服用終了後も最低1ヶ月間は避妊が必要です。

精神状態の変化

まれにうつ症状や気分の変化が報告されています。不安な点があればすぐに医師にご相談ください。

内臓機能への影響

肝機能障害、血中脂質（コレステロール、中性脂肪）の上昇が見られることがあります。このため、当院では定期的な血液検査で安全性を確認しています。

3.併用禁忌・制限される治療

以下の薬や治療との併用はできません。

テトラサイクリン系の抗生物質

（ミノマイシン、ビブラマイシンなど）

ビタミンAを含むサプリメント

過剰症を避けるため。

イソトレチノインの治療の流れ

イソトレチノインの治療経過

イソトレチノインの料金

イソトレチノインについてのよくあるご質問

イソトレチノインによるニキビ治療にはどれくらいの期間がかかりますか？

個人差やニキビの重症度によりますが、通常は半年から1年程度の期間が必要です。大切なのは「累積投与量」に達することです。

飲み始めるとすぐにニキビは良くなりますか？

効果が出るまでに2〜4週間程度かかるのが一般的です。一時的にニキビが悪化する初期反応が見られることもありますが、その後、徐々に改善していきます。

飲み忘れてしまった場合はどうすればいいですか？

気づいた時にすぐに飲んでいただいても問題ありません。ただし、一度に2回分をまとめて飲むのは避けてください。